本を出版することが決まったとき、知り合いに印税生活か、なんて言われましたが、無理です。印税生活って、印税だけをもらい仕事をせずに生活していくことですよね。初版部数などは言えませんが、印税生活をしたければ、印税の仕組みとして少なくとも100万部以上は売れないと不可能です。
100万部でようやく夢の印税生活ギリギリな印税の仕組み
印税収入は、部数 x 価格 x 印税割合 で決まります。例えば、1万部・1,000円・5%だとしたら、10,000 x 1,000 x 0.05 = 500,000。50万円です。収入としてはもちろん高いですが、50万円でずっと生活なんてできますか。
では、もう少し部数と印税割合を上げてみます。10万部・1,000円・10%、100,000 x 1,000 x 0.1 = 10,000,000。1千万円です。50万円に比べて、一気に金額が上がりました。でも、これでずっと生活できますかね。
例えば、普通に働いていて毎月の給料が20万円だとします。1年働くと、200,000 x 12 = 2,400,000。240万円ですね。印税が1千万円だと5年も生きられません。印税割合が10%という高待遇になり、今の時代にベストセラーに属する10万部が売れたとして5年も生きられないんです。
では、100万部で計算すると、印税はいくらになるのか。
1,000,000 x 1,000 x 0.1 = 100,000,000。1億円です。ここまで来ると、ようやく50年は生きられる計算になります。一生とは言えませんが、夢の印税生活に近くなるのではないでしょうか。それでも毎月の費用を20万円に収めなければならない、という制約が付いています。
どうですか。印税生活なんて軽はずみに言いますが、無理なのがわかりますよね。どこかで聞いたことがあるかもしれませんし、出版社も口を揃えて言います。本が売れない。そう、今の時代は本が売れないんです。ベストセラーの定義も、昔は100万部でしたが、今は10万部も行けばベストセラーです。
ベストセラーである10万部にいったとしても、印税生活なんて無理なんですよ。
2017年10月27日に「だんなデス・ノート」を出版しました、牧田です。
どうでも良いんだけど、6年前に動物保護でテレビに出たときの金と黒のジャージ、今でも着てたんですね。物持ちが良い!
さて、一般の人からすると出版とは縁遠いです。ぼくももちろん出版なんて考えたこともありませんでした。もし自分が本を出版することになった時、出版社選びはどのように判断すれば良いのか。自費出版ではなく、多数の出版社から出版の依頼があったとき、最終的な判断は担当者に会うことです。
だんなデスノートの出版依頼は、7社から連絡がありました。7社からも出版依頼が来ると、どこにお願いをしたら良いのか迷うんです。いや、むしろどこでも同じなんじゃないか、なんてことも考えます。そんな出版社選びに迷ったとき、どういう風に判断すれば良いのか、確認事項を書いておきます。
以下の項目を確認した上で、最終的な判断は担当者と会って話しましょう。
確認事項
出版依頼があったときに確認するべき事項は以下です。
- 具体的な企画内容
- 発売時期
- 予定・初版部数
- 支払い印税
- 予定価格
- 予定判型
- 予定ページ数
- 電子書籍での刊行有無
- 予定プロモーション方法
- 他出版社と並行して、2冊目になる可否
- 牧田から可否の返事期限
出版社からの回答例は以下です。あくまで例であり、だんなデス・ノートの出版とは関係がありません。
- 具体的な企画内容
投稿モノとしてまとめ、有名タレントのインタビュー - 発売時期
2017年10月27日 - 予定・初版部数
3,000部 - 支払い印税
4% - 予定価格
700円 - 予定判型
B5半 - 予定ページ数
125ページ - 電子書籍での刊行有無
無し - 予定プロモーション方法
自社メディア、自社雑誌、新聞 - 他出版社と並行して、2冊目になる可否
1冊目に限る - 牧田から可否の返事期限
2017年10月31日
出版社からの返答は、上記以外に自社のウリなども教えてくれます。自社の週刊誌は50万部ほど売れています、過去に同じような本を出版し10万部売れました、などです。
例を用いた各項目の説明
具体的な企画内容
どういう内容の本にするか、です。全文を書くのか、書くのであればテーマはなにか、既にあるものをまとめるのか、などです。ぼくの場合は投稿サイトの書籍化なので、投稿をまとめる、という内容になります。
回答例は、投稿モノとしてまとめ、有名タレントのインタビュー、です。
発売時期
いつ発売する予定なのか、です。なにか話題になったことで波に乗っかるのであれば、早い方が良いです。遅くなればなるほど話題性は薄れてしまい、本が売れなくなります。
回答例は、2017年10月27日、です。
予定・初版部数
最初に出版する部数です。印税の収入に関わる1つ目の項目です。基本的に印税は、売れた分だけ著者の収入になる、ではなく、刷った分だけ著者の収入になります。なので、本が売れようが売れまいが、最初は関係ありません。初版部数が多ければ多いほど、最初の印税収入が上がります。
回答例は、3,000部、です。
支払い印税
印税の割合、パーセンテージです。印税収入に関わる2つ目の項目です。初版部数とも関わりが大きいですが、印税の割合で著者の収入が決まります。印税の相場としては、ぼくに出版依頼が来た中で言うと、3%~10%が普通のようです。
刷った分だけ印税収入になりますが、出来高印税というのもあります。これは今回の例とは違い、売れた分だけ印税が支払われる、ということです。アフィリエイトみたいなものです。収入としては約束されないので、著者には不利です。売れる見込みが低い場合は、出来高印税になることがあります。
回答例は、4%、です。
予定価格
本の販売価格です。初版部数、印税と続き、印税収入に関わり最後となる3つ目の項目です。販売価格 x 初版部数 x 印税 = 著者の収入 となります。
回答例は、700円、です。
印税収入は回答例で計算すると、販売価格700円 x 初版部数3,000 x 印税4% = 700 x 3,000 x 0.04 = 84,000 となります。予定通りに出版が行なわれれば、本が売れようが売れまいが、最初に84,000円が著者への収入となります。
予定判型
本の大きさです。A4半、B5半、四六判などですね。
回答例は、B5半、です。
予定ページ数
本が何ページになるか、です。ページ数により、本の厚さが変わってきます。
回答例は、125ページ、です。
電子書籍での刊行有無
アマゾンのキンドルなどで読めるようになるか、です。最初は電子書籍にはしないと思います。本との競合になってしまうからです。大体、半年~1年後くらいが電子書籍の検討期間になります。
回答例は、無し、です。
予定プロモーション方法
本を売るための宣伝方法です。インターネットだけで広告を打つのか、雑誌や新聞でも広告を打つのか、です。著者が宣伝費用を払う必要はありません。出版社が週刊誌などを発行している場合は、自社出版なので載せてくれたりします。
回答例は、自社メディア、自社雑誌、新聞、です。
他出版社と並行して、2冊目になる可否
他の出版社と話しを進めた場合、タイミング的に同時、もしくは2冊目になっても大丈夫か、という確認です。発売時期と同じく、売上に関わります。複数の出版社から依頼があったとき、どこにしたら良いかわかりません。であれば、複数同時に出版して大丈夫か、ということです。
出版社としては読者を囲い込む戦略もあるので、まずOKされません。
回答例は、1冊目に限る、です。
牧田から可否の返事期限
出版社選びの猶予期間ですね。いち早く出版したい場合と、まだ企画が通っていない場合があります。長い間も出版社選びに迷っていると、話題に乗れず出版が無くなる可能性もあります。いつまでに返事をすれば良いのか、期限は聞いておいた方が良いです。
回答例は、2017年10月31日、です。
大事なことは印税収入ではなく、担当者の想い
確認事項は以上です。部数や印税の割合などで収入が判断基準になってしまいがちですが、最終的な出版社選びの判断は、担当者に会うべきです。ぼくは5社の担当者に会いに行きました。2社は企画が通ってから、ということで会えませんでした。
ぼくが決めたのは千代田区一番町にある宝島社です。有名ですよね、宝島社。売上高ランキングトップ10にも入っている、すごい出版社です。
宝島社に限らず、担当者の方たちはみんなすごい人たちでした。誰が良いとか悪いではなく、宝島社はなんとなくビビッと来たという感じです。宝島社の担当者さんは、最初から全てが明確で、出版から宣伝まで非常に分かりやすかったです。
そして、だんなデス・ノートに対する想いが非常に強かったです。ただ面白がって出版するということではなく、世の中の奥様たちに幸せになってほしい、苦しい声を届けたい、そんな色々な想いです。
だんなデス・ノートが初動でどれくらい売れたかは知りません。ただ、結果として宝島社にして本当に良かったと思います。丁寧に細かく動いていただき、ぼくの質問にも迅速に的確に答えてくれました。
仕事の早さにも驚きました。出版が決まってから実際に出版するまで、3ヶ月も掛かっていません。基本的に本の内容について、ぼくは何もしていません。本出しますよ→はいどうぞ→できました、っていう感じです。
宣伝もたくさんしていただき、本当に助かりましたし、嬉しかったです。この場を借りて、改めてお礼を申し上げます。ありがとうございました。
投稿モノを出版するときの注意点が2つあります。
1.弁護士に確認すること
2.同じような立場の人に確認すること
契約上、細かいことは書けません。もしあなたが同じように、作ったものを本として売ることになったとき、確認してください。ぼくも大手弁護士事務所に30分ウン万円というお金を払って、相談と確認をしました。
また、同じように本を出版したことがある人にコンタクトを取り、確認するべきことを教えていただきました。お二人にもこの場を借りてお礼を申し上げます。本当に助かりました、ありがとうございました。
ということで、印税生活なんて夢のまた夢で、出版社選びは担当者に会いましょう、ということでした。参考になれば幸いです。
2017年10月27日発売 Amazon | だんなデス・ノート | 死神 通販